「黒騎士物語」についての勝手な考察 その1

以下の考察は、私が「黒騎士物語」の劇中から読み取れる情報を基に勝手に考察しているものです。御意見、御指摘、御反論、大歓迎です(笑)

○黒騎士中隊の所属と車輌番号

○バウアーの乗車車輌

○黒騎士中隊マーク(エンブレム)

○バウアーのユニフォーム

○バウアーの記章

○バウアーの家族

バウアーの部下達

○黒騎士中隊の所属と車輌番号

・「黒騎士物語」以降

エピソード4より

巻末附図6に1944年のグロスドイッチェラント(GD)師団の編成図が載ってます。本編では、エピソード6までは、中隊の車輌番号も通常の部隊の車輌番号(バウアーの車輌の場合、第8中隊本部車輌で800、ただし特徴としてエピソード4までのIV戦車の砲塔周りのシュツルエンの後部の車輌番号の真中の0に黒騎士中隊マークが描かれています)が付けられています。てなわけでこの時点までは、GD師団第2戦車大隊第8中隊でしょうか?
エピソード9より ところがエピソード9以降は、軍司令部直属戦隊という位置づけで車輌番号も黒騎士中隊マークと数字という独自のものになっています。

・「黒騎士物語」以前

「スターリングラード42/43」より
「スターリングラード42/43」より

「スターリングラード42/43」の話から、バウアーを中隊長とする黒騎士中隊は、1942年時点ですでに存在していたようです。この話の中で、バウアーはスターリングラード救出のために第6戦車師団に配属になります。配属以前は、車輌番号からどこかの師団の第4中隊が黒騎士中隊であったようです。第6戦車師団に配属後にはやはり車輌番号から第8中隊が黒騎士中隊となっているようです。

○バウアーの乗車車輌

38(t)

「スターリングラード42/43」より

「スターリングラード42/43」の話の中で、38(t)に搭乗したバウアーが登場します。

IV号戦車G型

「スターリングラード42/43」より 同じく「スターリングラード42/43」の話の中で、第6戦車師団に配属後にIV号戦車に搭乗したバウアーが登場します。可能性としてF2型も考えられますが、ボッシュライトが描かれているのでG型だと判断していいでしょう。

 IV号戦車H型

エピソード4より
「黒騎士物語・外伝」より

「黒騎士物語」は1943年秋からスタートしたという設定なので、エピソード1〜4までのIV号戦車は、GないしはH型だと思われます。ところがほとんどの絵で車体右側面にエアフィルターが装備されているため、H型であると判断していいでしょう。また、この時の車輌は「黒騎士物語・外伝」のようにダークイエローにダークグリーンの帯状の二色迷彩のようです。

 ・パンター

エピソード5より

まずエピソード4で偶然乗車するパンターですが、話の時期から考えて(1944年の初春か?)G型だとすると、G型の生産が1944年3月から始まっているので、実際に配備されるまでのラグとロシアでの季節ということを鑑みて少々無理があるような気がします。(まぁ、初配備途中の輸送車輌だったのかも知れませんが)しかしながら、黒騎士物語で描かれているパンターは、前面の操縦手用クラッペが描かれているものが一つもありません。また、ライトの位置も左フェンダー部分になっており、両方ともG型の特徴です。したがってすべてG型だとするのが妥当でしょう。ただしスティール・ホイール仕様のものは出ていません。

ケーニッヒス・ティーガー

最後の章より

最終章のケーニッヒス・ティーガー、当然ヘンシェル・タイプです。ただ、予備キャタピラや一切の装備品は着いてないみたいです。

○黒騎士中隊マーク(エンブレム)

 描画上の制約かどうかわかりませんが、3種類見当たります。

エピソード5より 1.右手で剣を握り締めて剣を上に向けているもの
エピソード13より 2.上に向いた剣だけのもの

最後の章より

3.右手で剣を下に向け戦車(明らかに赤軍戦車)を突き刺しているもの

3は最終章でバウアーの乗車するケーニッヒ・ティーガーのみ使用されてます。2は描画上の制約で小さく描かれているものに見当たるため、やはり1が基本だと思われます。


○バウアーのユニフォーム

バウアー 巻末附図3において「当主人公は主に後期型フィルドグレイ戦車服で、ブラックユニフォームはあまり着用しない」という記述があります。モノクロのコミックでは確かに判断しにくいですが、よく見ると、クルツやシュルツの服が黒く塗られていてもバウアーだけはうすく塗られています。

○バウアーの記章

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バウアーの記章類に着目するとエピソード1の冒頭で、一級鉄十字章、戦車突撃章、戦傷章の3つを確認出来ます。このエピソード1でバウアーは右目を失ってエピソード2で金の戦傷章と共に野戦病院から戻って来るので、エピソード1での戦傷章は、銀もしくは黒のようです。エピソード7になると、略綬章のリボンを付けているのが確認できます。STEINERさんの話によると、一級鉄十字章受章者は、通常二級鉄十字章も受章しているので、二級鉄十字章のリボンと一級鉄十字章の両方付けているのが普通だそうです。ところが、巻末附図3において、バウアーの付けているリボンは二級鉄十字章ではなく、41/42東部戦線従軍章であるとの記述があります。(ということはバウアーは二級鉄十字章は受章していないということでしょうか?)さらに同じく巻末附図3によると、戦車猟兵に転属時の戦功によって、肉弾戦車撃破章(金章)と歩兵突撃章も受章しています。ただ、劇中では歩兵突撃章は描かれていますが、肉弾戦車撃破章については確認出来ません。この歩兵突撃章については、STEINERさんの話によると戦車猟兵の場合、陸軍突撃章になるはずとのことでした。さらにエピソード15では騎士十字章も受章しています・・・というような考証を基に、タミヤの1/16国防軍戦車兵を改造してバウアーとしてみました。改造と言っても、眼帯を付けて、記章類(戦傷章と歩兵突撃章・・・戦傷章は適当でしたが、歩兵突撃章は少々気合が要りました(笑))を自作しただけです。顔は初めて油絵の具を使用したのですが、まだまだ修行要です(笑)・・・歩兵突撃章なんですが、このページを更新直前に手元の資料で、歩兵部隊兵士には銀章を、戦車擲弾兵(戦車猟兵?)には銅章が授与されたという記事を発見。急遽、歩兵突撃章は銅に塗り替えました。

○バウアーの家族

クルト・フォン・バウアー工兵少尉

エミール・フォン・バウアー大将

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バウアー(紛らわしいのでここではエルンストとします)の家族は、「スターリングラード42/43」に登場する、エルンストの弟(次男)クルト・フォン・バウアー(上の画像)工兵少尉との会話でかなり判明します。まずバウアー家は、代々職業軍人の家系で、両親と2人の弟と1人の妹がいるようです。「黒騎士物語」の主人公であるエルンスト(エルンスト・フォン・バウアー)は、そのバウアー家の長男です。生誕については「黒騎士物語」のラストシーンのエルンストの墓標(3番目の画像)ではっきりわかります(享年32歳・・・老けてますね(笑))。次男のクルトはスターリングラードで、捕虜(すなわち戦死?)となってしまいます。三男はハンスという名前ですが、一人だけルフトヴァッフェの少尉です。このハンスも「黒騎士物語」に登場する父親のエミール・フォン・バウアー(2番目の画像)大将の話(エピソード9)によると戦死しているようです。(この挿絵の会話、ちょっとおかしいですね。自分の息子に対して、しかも私的な話なのに、エルンストではなく、バウアーと苗字で呼んでますから・・・)母親の名前はわかりませんが、最後の章でバウアーが父に「母上とエンゲによろしくお伝え下さい」と言うシーンがあるので、このエンゲというのが妹の名前のようなんですが・・・
3-41.jpg (60222 バイト) エルンストには、実は息子がいたわけで、「第3次世界大戦」に登場します。名前はアロイス・バウアー大尉。このシーンの日時は1995年。「黒騎士物語」でエルンストの父親が、エルンストしか家を継ぐものがいないと言っているので、その時点では孫(アロイス)はいなかったと思われます。また、この画像で「最良の戦車兵にめぐまれた」という手紙を読んだとありますが、少なくともエルンストが存命中はアロイスはまだ幼かったはずなので、内容的にもアロイス宛への手紙ではない(すなわち妻宛か?)とも考えられます。さらに「母上とエンゲによろしくお伝え下さい」という言葉で、実はエルンストはアロイスのことを知らなかった(エルンスト戦死後に誕生?)とも考えられます。ということは、アロイスは1945〜46年生まれと考えられるので、なんとこの「第3次世界大戦」では若くて49〜50歳・・・エルンストと対照に若く見えます(笑)。

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当然?エルンストに妻がいたわけなので、気になるのが、「黒騎士物語」のラストシーンでエミールの車椅子を押している女性。この画像を見る限り、クルツとエミールの再会でもらい泣きをしています。ということは、この2人とエルンストの関係をよく知っていると思われるわけです。そうなると、3通り考えられると思います。ひとつはエルンストの妹、もうひとつはエルンストの妻。この2人のいずれか?という可能性を考えると、エンゲというのはエルンストの妻の名前の可能性も考えられます。そしてもうひとつは、バウアー家に長年いるメイド。服装的に明らかにメイドなので、メイドと考えるのが妥当のような気がしますが、いかがなもんでしょうか・・・

バウアーの部下達

1.クルツ・ウェーバー

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小林源文氏自身が書いているように、当初は黒騎士物語の主人公になる予定の人物でしたが、バウアーの方が主人公になってしまったというのが真相だそうです。そういうわけで、このクルツが黒騎士中隊に配属になった時点から、黒騎士物語がスタートし、黒騎士物語全編に登場し唯一戦後まで生き残った一人です。黒騎士中隊配属時から、エピソード9まで昇進していないようなので、階級は、エピソード9までが上等兵、エピソード9以降が軍曹のようです。配置は、エピソード6までが、黒騎士1の装填手。エピソード9からエピソード13までが、黒騎士1の照準手。エピソード14から最後の章までが、黒騎士2の車長です。

2.シュルツ

3-19.jpg (16899 バイト) 階級的にもバウアーの副官とも言える人物です。エピソード1でバウアーが負傷し、砲の照準器がいかれたにもかかわらず、機転を利かしたクルツに対し自分の戦車突撃記章を与えています。彼はエピソード15で、行方不明となっています。階級は、エピソード9までが曹長、エピソード9以降が准尉のようです。配置は、エピソード6までが、黒騎士1の照準手。エピソード9からエピソード13までが、黒騎士1の照準手。エピソード14からエピソード15までがヘッツァー(車輌番号31、第3小隊長?)の車長のようです。黒騎士物語外伝によるとババリア出身だそうです。

3.マイヤー伍長

3-21.jpg (14489 バイト) 実はマイヤー伍長と次のハンス上等兵の区別が、本編劇中ではほとんどわかりません。そこで判断材料としてエピソード3の中の会話をヒントにしました。無線手が操縦手に対し「おい、ハンブルグが空襲で全滅したらしいぞ」と言います。もし、操縦手の方が階級が上なら、「ハンブルグが空襲で全滅したらしいです」となると思われます。また、最後でも上等兵のクルツが操縦手に「おい、まだあるぜ」という声をかけます。この2点から、無線手のほうが階級が上、すなわちマイヤー伍長であると判断しました。ところが、「黒騎士物語外伝」の登場人物紹介により、操縦手がマイヤーだと判明しました。出身はハンブルグでソーセージ職人の息子だそうです。エピソード6までの黒騎士1の操縦手です。エピソード3によって唯一ハンブルグに妻子がいることがわかっています。あと、不動産屋にローンがあることも。妻に対しては、妻子持ちは後方勤務だとウソを付いているようです。彼は、エピソード7以降、全く見当たらないので戦車猟兵配属時に残念ながら妻子を残し戦死したと思われます。

4.ハンス上等兵

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5.シュタイナー

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STEINERさんではありません(笑)。階級、経歴、配置等全く不明ですが、エピソード13でバウアーに伝令を命令されて一度だけ登場する人物です。